# 完全掌握ミッションの抜け道を考える

2021年12月26日0時。大崎甜花・甘奈姉妹の誕生日の翌日ということもあり、幸せの余韻が残るアイドルマスターシャイニーカラーズ。その余韻を味わうためにログインをしたユーザーから次々に悲鳴が上がる。年末年始ミッションとやらが唐突に開幕し、その中に「グレードフェスで完全掌握を取る」が含まれていたためだ。「もうちょっとライトユーザーに配慮しろ」という声が主流だったと記憶しているが、ガチ勢からもそこそこ(めんどくさいという)声が上がっていた。それはもうこのコンテンツが嫌われているだけだろ。

# 完全掌握

アイドルマスターシャイニーカラーズのフェスモードにおいて、Vo,Da,Vi3ジャンルの審査員すべての興味値において最も大きな割合アピール値を獲得すること。細かい仕様や説明は別の場所に譲るとして、ようするに必要なのは

  • 対戦相手よりも大きなアピール値を出すための火力
  • 各審査員に最低1度アピールするためのターン数猶予

の2つになる。このうち、火力は単純に育成を頑張るという話になるのだが、ターン数猶予については「思い出アピールを撃つ」「それに加えて、早いターンで思い出アピールを撃てるようにする」「全体アピール持ちを編成する」「興味値(対戦中の全プレイヤーの審査員へ与えるダメージの倍率)を操作できる能力を使用する」などの対策が良く使用される。これらの対策を用意し、自分以外のプレイヤーはAI操作という疑似PvPのグレードフェスの仕様を利用することでそれなりに現実的な範囲で完全掌握を達成することは可能である。また、より達成条件の難しいアチーブメントが存在し、グレードフェスに上位ランクで勝利するにはそれらの達成が必須であるため、完全掌握そのものは上位ランクにおいてあまり難易度の高いものだとは見られていない。(正確には難易度自体はそこそこ高いのだが、勝利のためには必須の大前提なのでもはや難易度を考慮される段階にない)

そのような背景から、私はふと「(たとえライトユーザーでも)そこまで難しいか?」という意見を発したのだが、想像よりも多くの反発を受け、自らの軽率さを恥じることとなった。ここでは、そのような私の無知を反省するとともに、この誤解はなぜ生じたのか? ということを考えていく。なお、検証にあたってド深夜にグレード4の友人を叩き起こして調査することになった。黙祷。

# いくつかの誤解

当然のことだが、プレイヤーそれぞれに「手持ち」の概念があるグレードフェスにおいて、根本的に取れる対策の数は違ってくるし、プレイスタイルによっては手持ちがあっても育成をしていない、育成をしたいのに手持ちが無い、という状況も考えられる。もちろんそういう状況をある程度は解消するためにグレードが存在し、それぞれのプレイヤーの実力相応のプレイヤーとマッチしたり、フェスそのものの難易度が変化したりするのだが、アクティブユーザーの比率に対して各グレードの人数振り分けと難易度調整が完璧に機能しているとは言い難く、いくつかのギャップを生み出している。また、私自身はどちらかと言えばグレードフェスを頑張っている方の人間に分類されるため、「あまり頑張らないプレイスタイル」のユーザーに対する想像力が欠如していたこともある。深夜に友人を叩き起こした調査によって分かった事実とともに、それらの誤解を解説していく。

# 誤解1・完全掌握を取るための選択肢はそれなりにある

大前提ではあるが、まずはこれを把握しておく必要がある。前述したように完全掌握を取るためには明確に有効な選択肢があり、これらを使用することで目的に大きく近づく事ができる。

ただし、「思い出アピールを早期のターンに打つ」という選択肢に関しては、もちろん思い出レベルが高く、思い出アピール自体が強いアイドルを育成しておく必要がある。思い出レベルはアイテムを使用しない限り通常のプレイでは高レベルに到達するには運の要素が強く、ライトユーザーが育成できているかどうかはかなり怪しい。また、仕様上思い出アピールを強く撃つには思い出アピールを持つアイドルの所属ユニットを揃えておく必要があるため、アイドルによっては編成が大きく縛られることになり、どんどんアイドル育成にかかる要求量が増えていくことになる。

その他の対策である「思い出アピールを早く撃てるようにする」「全体アピールを撃つ」「興味値を操作する」に至っては実用的な範囲でこれらを運用できるカードのほとんどが限定SSRであり、恒常SSRだったとしてもほとんどが同一カードを重ねて凸した場合にのみ覚えられるスキルである。これらはもうプレイスタイルやプレイ時間に大きく左右され、ユーザーによってはそもそも最初から選択肢として存在しないケースも十分に考えられる。

上記の手段を使用できない場合、単発アピールのみで完全掌握を取るには最低でも3ターンの猶予が必要になり、これはほぼすべてのグレード帯において毎回保証されるとは言えない長さである。思い出アピールについては手持ちが悲惨でも育成で解決できる範囲なので不可能とは言わないが、どちらにせよそれなりに腰を据えた長時間のプレイを強要することになる。

# 誤解2・低グレードはライバルが弱い

これについては「絶対的数値としては」間違いではない。手持ちの都合か、育成の都合か、低グレードにいる以上はそれなりの理由があり、各ライバルが出せるダメージの数字は明確に低い。

ただし、ここで重要なのは「自分も低い」ということである。完全掌握の条件は「対戦しているプレイヤーの中で自分が一番数字を出せること」なので、完全掌握という目的に絞って見れば重要なのは対戦グレード内での相対的強さなのである。一応、ゲームシステム上出せる数字が大きいアピールは追加効果が付随していることが多く、絶対的な数字が低い連中の集まりのほうが対戦中の流れの把握は容易になるのだが、こちらもプレイスタイルの都合でグレードフェスをあまり真剣にやっていないユーザーに求めることではない。

# 誤解3・グレードフェスには救済措置として難易度Easyが存在する

これが私の発言において最も物議を醸した部分であり、あまりに否定されるので流石に何か誤解が有るのではないかと気付かせてくれた大きな部分である。グレードフェスには難易度Easy,Normal,Hardの三段階の難易度が存在し、難易度が上昇するに従って

  • 最終スコアボーナス
  • 対戦相手の強さ
  • 審査員の体力

が上昇していく。ただし、このうち対戦相手の強さについては「数字上の強さ」しかシステムでは考慮されておらず、数字上強い編成と実際に強い編成は別であるため、ほぼ死に仕様であるどころか逆効果になっているケースすらある。ただ、それを差し引いても難易度Easyの方が基本的にやりやすい(と私は思っている)ものの、グレードフェスが最終的にはスコアランキング形式である以上難易度Hard以外は日頃見向きもされていない。

ここで、多く寄せられたのは「難易度Easyは審査員が弱すぎる」というコメントである。完全掌握の仕様上、審査員たちには自分が一番大きな数字を出せるタイミングまでは生き残って貰う必要があり、たしかに審査員が弱すぎて2ターンとかで死なれるのはたいへん都合が悪い。しかし、私は別にそこまで言うほど弱くないと思っていたのでここで違和感があった。なので、グレード4の友人を叩き起こして2021/12/22-2022/01/01の期間で開催されているグレードフェスにおける審査員の体力を調査することにした。

審査員\難易度 グレ4Easy グレ4Hard グレ7Easy グレ7Hard
Vo 36.4万 81万 364.5万 450万
Da,Vi 28万 62.3万 243万 300万

正直、全く予想していなかった程の数字の差があった。グレ7においては難易度がHardからEasyになると審査員の体力が約2割引になるのだが、グレ4では難易度HardとEasyで審査員体力のに倍以上の差がある。これでは難易度変化に伴うプレイ感覚が合わなくて当然である。また、グレ4とグレ7の同難易度で審査員の体力は文字通り桁が違うが、昨今のカードパワーインフレおよびグレードフェス仕様変更によるアクティブユーザー間の競争激化に伴い、いくらグレ4とグレ7でも(最も火力の出せるタイミングを除いて)火力に10倍の差が出ることはない。つまり、そもそも遊んでいるゲームが違っていた、というレベルの話だったのである。また、対戦相手の強さが変化する、という点も罠があり、(超ざっくりな説明なのでかなり誤謬があるが)グレードフェスの仕様上対戦相手を操作するAIはその操作するプレイヤーの最も得意な属性を攻撃する傾向にあり、ゲーム内のカード環境の問題でその得意属性は対戦相手が編成しているキャラのシルエットからある程度推測することが出来る(=対戦中の立ち回りによって完全掌握の確率を上げられる)のだが、このレベルになってくるとそもそも理想のカードプールを所持していないこともあり、この推測が非常に困難である。そして、審査員の体力低下と合わさり、初ターンでの立ち回りの一つの間違いがそのまま完全掌握の失敗に繋がる鬼仕様と化している。それこそこのケアをライトユーザーに期待するのは間違いである。

なお、ここまで審査員の体力が低いとグレ7のユニットをグレ4に持っていくと1ターン目に全体アピールを撃つだけで完全掌握が取れる。グレ7の難易度Easyにおいても、この程度の体力があれば審査員が即帰宅する減少は起きづらいため、自分の最大火力が低くても完全掌握が狙える、という利点が現れやすい。そのため、「高グレードほど難易度Easyが救済措置として機能する」という逆転現象が発生している。

# 完全掌握を取るために

以上の事から、「完全掌握はそれなりに簡単」かどうかはかなりユーザーのプレイスタイルに左右されることが判明し、大変反省することとなった。が、ツイッターで無駄にイキった手前せめてそういう状況でも多少解決するための手段を考えて禊としたいと思う。

# 1・育成をする

初っ端から身も蓋もない方法では有るが、なんだかんだ一番有効な方法である。そもそもなんで完全掌握ミッションが物議を醸したかと言うとこのミッションを含む一連のイベントミッションをクリアすることで合計4500石(シャニマスの10連ガシャは3000石)が手に入るという部分が大きかったと思う。ので、どうせイベントミッションの中にグレードフェス用育成シナリオである(語弊)GRAD育成が含まれているため、観念してやってくれ、ということは思う。

たとえ手持ちにかなり難があっても、イベントシナリオ報酬やアイドルロードを活用することでグレード4ぐらいであれば勝てるユニットを育成することは不可能ではない。グレード5ぐらいまで来たなら……自力でなんとかしてくれ

もちろん、そのために調べたり人に聞いたり、という手間が発生するのでこの年末年始の忙しい時期にライトユーザーに重めのプレイを要求することになるのだが、その見返りの4500石なのでここまでならまだまあ釣り合ってるだろう……とは思う。グレードフェスそのものがかなりクソゲー寄りなので納得行かない気持ちは大変分かるのだが……

# 2・グレードを落とす

正攻法の次がいきなり戦略的撤退みたいな方法で本当に申し訳ないのだが、当然有効な手段ではある。前述したようにこのゲームはグレード内での審査員の体力とプレイヤーの攻撃力バランスが終わっているので落としたことによって更に厳しい戦いを強いられるという可能性もゼロではないが、基本的にはグレード内で相対的な自分の強さが向上することのほうが重要である。なお、期間内でグレードが変化するタイミングはあと一回しか無く、このゲームは自分の意志でグレードを落とすことは出来ないので既にハイスコアを出してしまった人は……頑張ろう。この辺はまごうことなきクソゲーである。

# 3・質より量

根性論に突入した。グレードフェスの仕様上、自分がハイスコアを出せるか否か、ひいては完全掌握を取れるか否かは対戦相手とのマッチングおよび対戦中のランダム要素が非常に大きい。もちろんランダム要素の中で数少ない自分の意思で介入できる要素を適切に用いることで勝率を上げることは出来るが、それ以上に運が大前提なので開き直って無心で回しまくると案外そのうち取れたりする。心労がデカい上に結局時間もかかるが……

# 4・手持ちを揃える

ついに金のかかる話になってきたが、金を出してガシャを引いて強カードを引けばもちろん戦力は向上する。あまりに見の蓋のない話なのでここまでにしましょう。でも育成したくないなら金出すしか無いよね……

# 番外・シャイニーパスは買わなくても良い

ほぼ同時期に新規実装された「シャイニーパス」の中にグレードフェスで有利になります!みたいな効果が書いていると思うが、これの有用性を正しく判別できない人は有利になった部分を活かしきれないし、有用性が判断できる人は完全掌握ぐらいそのうち取れると思うので「完全掌握ミッションを達成する」目的だけで言うなら別に買わなくても良い。その金でなんらかの限定ガシャでも回したほうがワンチャン楽になる(金がかかる上に運用そのデカい部分なので保証は出来ない)。

# おわり

過去の記憶だけで現状を勝手に推定してデカいことを言うのはやめましょう、というお話でした。皆様大変失礼しました


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