# ほしいものリスト返礼記事(2020年の宿題編)
人間、アウトプットの総量はどうやっても上限があるので別のところでアウトプットを始めると個人ブログが放置されがちになる現象。人との関わりがないと社会的にも精神的にも生きづらいという面があり、それこそが何よりも辛い。半年放置してた言い訳終わり。 誕生日。それはこの一年も死なずに頑張ったことを褒められてもいい日。明日です。多分投稿時刻を考えると「1時間後です」とかが正しい表現です。
去年に色々とゲームソフトを誕生日にいただきました、一年越しになりますが本当にありがとうございます、メチャクチャ嬉しかったです。情けないことに四本送っていただいてクリアたのは二本です、金は無いが時間だけはある! と言っていたら金も時間もなくなりつつあり、誕生日を迎えるたびに人生の難易度が勝手に一段階上がるクソシステムを舐めていたことを実感しています。以下に書くのは感想なのでネタバレとかそういう概念一切考慮してません。ちなみに私はまあまあネタバレ許容派ですが今回書く二本についてはどちらもネタバレがゲームとしての面白さを完全に削ぐタイプのジャンルなのでネタバレされてたらブチ切れてたと思います。本当に黙っていてくれてありがとう……
# 逆転検事2 コレクターズ・パッケージ
実はこれを頂いた段階で大逆転裁判の1.2を積んでいて、これ自体は割と早めにクリアしたんですがその後勢いで大逆転裁判に走ってしまって後回しにしたという情けない話があります。去年の記事では本家シリーズのスピンオフ、しかも二作目ということでめちゃくちゃ書く内容に困っていましたが今回は遠慮しなくていいので楽ですね。元々逆転裁判シリーズのスピンオフというところで始まったこの作品。ライバルを主役に据えたスピンオフと言うと本編で語られなかったライバルなりの正義や過去が明かされてあそこで主人公と対峙することになったのはこういう経緯があったのか……みたいになる話が多いと思うが、そういうのは本家シリーズで全部やっているというのが逆転検事シリーズの立ち位置の特殊なところ。なんせ逆転裁判の作中で弁護士(主人公)と検事(ライバル、逆転検事の主役)それぞれの正義(この作品で正義というワードを使うとまたややこしいことになるのだが今回はそれぞれの主義主張ぐらいの文脈で使う)は立ち位置が違うだけで同じところを見ている、と初期からずっと一貫しているし、主人公の過去がほぼ謎というか弁護士になった経緯が「ライバルの本心を確かめるため(あとライバルが昔自分を助けてくれたのが得難い経験だったから、というのもあるが)」なので主人公、成歩堂龍一の感情の矢印はライバルである御剣怜侍に向きまくっているうえにシリーズ第一作最終話が御剣の過去を救う話なので何なら御剣の方が詳しい過去が明らかになっているまである。そもそも御剣自体本家シリーズで既に主人公側の操作キャラとしてプレイできているので実質的にライバルよりも二号ライダーとしての側面も結構強い。
そんな状況でなんのスピンオフをするのかというと、ぶっちゃけた話システム自体は本家シリーズとほぼほぼ何も変わらなかった。ただ立場が違うゆえに担当する事件や解決の道筋で差別化が出来るので本家逆転裁判シリーズのプレイ感覚をそのまま得ることが出来るというコロンブスの卵じみたメリットがあり、実質的に本家シリーズの追加シナリオとして機能していた。ここまで前作の情報。
そんな背景があってのスピンオフシリーズ二作目。前作は本家シリーズのキャラが出張りすぎで新規キャラの影が薄いという声が多かったのか新規キャラの出番とインパクトが大幅増加。ぶっちゃけ狩魔冥ちゃんとか普通に掘り下げあったのは良かったのであれはあれで良かったんだけど……。本家シリーズ合わせてもシナリオが随一の作品、という触れ込みだったので期待して蓋を開けたら本当に良かった嬉しいケース。先に触れたもともとこの作品における弁護士と検事は最終的に同じところを見ているという価値観の中で、御剣の父(故人)が元弁護士だったというもともとあった設定に実際に父が関わった事件をシナリオに組み込み、その事件に残された謎を御剣が手掛ける中で生前の父を知る人物から今の御剣の生き方を肯定されつつも父と同じ弁護士としての道を提示され、父の道筋をたどることに寄る父への想いや検事組織の腐敗からその道への憧れを確かに持ちつつも最終的に検事でなければ解決できない事件、救えない人がいるという結論に落ち着くのは単体の物語としても逆転裁判シリーズのスピンオフとしても収まりの良い最高の結末だったと思う。検事シリーズを通して御剣は成歩堂の名を明確には出さないが信頼できる弁護士として常に存在を匂わせているのは単純にキャラ萌え要素としてめちゃくちゃ強い。基本的に逆転裁判シリーズはライバルがそのままヒロイン兼任だと思ってるからね。
新キャラは御剣自身の本筋に関わるのは結局信楽さんだけだったが、世襲のボンボンという最悪の対比を効かせながら最終盤で大活躍する一柳弓彦はやはり非常に良く出来たキャラであると思われる。序盤の役回しは完全に腐敗した組織を象徴する実力のない家柄だけの勘違いした三下でありながら、役割の都合上毎回やられ役として登場しながらも少しずつ本人の人柄に触れていって早期に「悪気のあるやつではない」という印象をプレイヤーに与えながらも真に活躍できるのは最後も最後、という作りはこういうキャラクターがカタルシスを与えるのはこの一瞬のみであるということを非常に良く掴んでいたと思う。その一方で水鏡さんは若干御剣たちの抱える問題を解決するために事件があって、その事件のための舞台装置という感はあったがキャラクターとしてはやはり「却下!」のインパクトが強かったと思う。こちらはどうしても序盤の弓彦を介護する役割のために損な役回りになりがちというのはあったが……。
推理ゲームとして見るとロジックチェスはどうしても制作側の想定する「攻め時」を逆算して選択肢を選ばなければならないという、本家シリーズでもあった「最終的にトリックの真相は分かってそのために使われた品も分かっているがストーリーを成立させるために順番に証拠品をつきつける必要があるためにかえって混乱する」問題を凝縮したような感覚がある。正解の選択肢を選んだ時のひとつずつ相手の主張を論破していく感覚自体は楽しかったのだけど。父の関わった事件を当時の推理とそのときに見逃したもの、今になってようやく出てきたものと合わせてウン年ごしに解決するところは非常に納得感がある。それも過去と現在を行き来する形ではなく、まず過去の事件は過去の事件として一旦決着させながら、当時の前提なら正しかった推理が実は違っていた、というふうに変化していくのが「迷宮入りした事件の再推理」ものとして非常に入り込みやすかった。そしてその事件の被害者でもあった子供が逆転検事2-1から続いた一連の事件の黒幕で……という展開は収まりが良い。一方で、「あっお前がラスボスなんだ……」という展開は何度もやるとすぐ飽きるのでそういう意味でもスピンオフシリーズの〆として使ったのは正しいと思う。正直ミクモちゃんとのペアも含めて純粋に本家シリーズペアよりも個人的に好みだからこのままシリーズ続いてほしいんだけどこんだけ綺麗に終わったら無理だろうなあ……。
# 十三機兵防衛圏
アトラス×ヴァニラウェアのタッグが2019年に世に送り出したアドベンチャーゲーム。発売から徐々にその卓越したシナリオのクオリティが話題になりSNSを席巻していたが情報をうまくキャッチできずにこのゲームを知らないまま一年が経過。翌2020年の誕生日になんとこれをプレゼントしていただくという幸運に恵まれ、なんと更にそこから約一年弱放置。お前ちゃんとプレイしますっつってもらったんちゃうんかという気持ちを抱えたままなんとついに先週プレイし始めました。すると想像の1億倍面白かったので結局一週間でほぼコンプ。50時間ぐらい遊びました。というか蓋開けてみたら根幹要素のネタバレを知っているかどうかでかなーーーーーりプレイ中の体験が違ってくるやつだったのでよく一年も放置したなこれ!!!!!!!! バカ!!!!!!!!! まあ、(これ100回ぐらい言ったけど)私はアーチャーの真名を知った状態でFate/Staynightを遊んでそれはそれでメチャクチャ楽しめたのでまた違った体験が合ったのかもしれませんが。なんにせよこういうゲームの感想をSNSで書くって本当に難しいよね……としみじみ思った。私に新鮮な感情でこのゲームをプレイさせてくれた皆様に無限の感謝。まあこれは感想文なので容赦なくネタバレに踏み込むんですが。タイトルからしてロボット要素が押し出されてそうなのと、事前に遊んだヴァニラウェアゲーであるオーディンスフィアがガッツリアクションだったのでこれもロボットを使ったRTS部分がめちゃくちゃメインなのかと思ったらどっちかというとアドベンチャー部分を彩る味付けと演出としての意味合いが強かった。ゆえに、このゲームはアドベンチャーゲームである。
何よりも特筆すべきはアドベンチャーパートのゲームシステム。所謂紙芝居方式が主流のこのジャンルにおいて、各キャラクターの3Dモデルを用意して今までコマンド選択で終わらせていた「誰かに話しかける」「アイテムを使う、手に入れる」などの行動を全てそのキャラクターモデルを実際に操作することによって話を進めることでプレイ感覚を非常に高め、また一般の紙芝居方式では難しい「特定のポイントで一定時間待機する」「複数いる人物のどちらかに話しかける」などの操作を選択肢に暗黙的に組み込ませることで単純なボタンでテキストを送るゲームにならないところが楽しい(選択肢を出したまま一定時間を経過させることで別の選択肢が出現するとか、紙芝居方式でもこの辺の壁を越えようとした作品はあるがやっぱり反則技臭は出てしまうと思う)。3Dモデルの導入はそのまま演出面の強化にも繋がっていて、キャラクターの表情、仕草、その他背景、小物のひとつひとつのビジュアルが細かくて没入感がとても心地良い。GOUTO先輩(長身クールメガネ)が幼女先輩(外見幼女の中身老人)をスタイリッシュ抱っこするときのモーションとか良すぎて声出したね。あと機兵起動シーンはマジで最高。
じゃあその潤沢な素材を使ってどんなストーリーが展開されるのかと言うとSFの王道展開全部盛りみたいな贅沢展開だった。複数主人公によるオムニバス形式で話が展開されていってそれぞれが遭遇した小さな事件が徐々に繋がっていって……というタイプの話で、最初は大型ロボットの出現とそれが過去に持ち込まれたことに寄るタイムパラドックスと時空を股にかけてループを起こす黒幕が主流かと思いきや実は技術進歩が異なっているだけの別の世界だったんだ→そもそも今いる場所は地球じゃなくて宇宙船の中だったんだ→ループじゃなくて完全に世界がリセットされていたんだ→そもそも仮想空間だったんだ→でも最終的に君たちの前には新たな大地が広がっている、とあるある展開を全部ぶちこんできたなという印象。ストーリー展開の面では設定が段階的に開示されていくのと、序盤に露骨に2188年の意味深なシーンを差し込んできたのもあってまあやっぱそうなるよなみたいな感想にはなってしまうのですが、それでもこういう大どんでん返しの連続はオムニバス形式のシナリオ展開と相性が良く、読み進める順番とその時得ていた情報によって同じシーンを読んでもそのキャラクターたちがどういう意図を持って動いたのか、というのが全然違う印象になるので本当に全プレイヤーで出てくる感想が本当に違うんだろうなあって思いました。これは現実世界でも同じシステムを構築してこのゲームを全人類にやらせたくなる出来だった。
どちらかといえば少年少女に強い情念を抱かせるために恋愛感情が話の本筋として使われていて、その行為自体の是非はここでは考えないが、ラブロマンスの王道設定として殺し殺される関係、前時代(と登場人物たちは考えている)からの関係、男同士の関係、時代と周回とAIの概念を越えた関係、など各ペアの恋愛感情もとにかくバリエーションがあって、それがあの過剰積載気味な世界設定と噛み合って根幹のストーリーとして完璧に展開されていたのが実に良かった。
恋愛といえばパッケージや説明書の表示、「夢で繋がっている」という関係から十郎と五百里がくっつくと思っていたら五百里ストーリーで知らん間に関ヶ原瑛に惹かれていってるし十郎は十郎で恵に絆されるし、「これ関ヶ原瑛と恵が負け組同士くっつくのかな」と思ったらそのままくっついたのが一番驚いたかもしれない。少なくともSF部分のどの設定が明らかになったときよりも腰抜かした。まあ十郎と五百里はあれはあれで別の意味でくっついたんですが。
その他、個人的に好みなのは東雲先輩。2188年のビジュアルがだいぶ好み。作中のほとんどの時間帯で頭がイカれているために人格の推定がかなり難しいが関ヶ原瑛が懐いてる辺り悪い子じゃないんだと思う。一方で全時代でかなり人類の戦犯じみたムーブをキメており(大なり小なり全員やらかしてはいるんだけど)、最終決戦もなんかやけくそ気味に出撃したのをなんとなくのノリで迎え入れられて、最終的に若干余りものどうしくっつく感じでGOUTO先輩とくっついていたり(ただ性格的相性は悪くないと思う)とめちゃくちゃ扱いが悪い気がする。彼女が主人公のパートは定期的に薬を飲まないと最初からやり直しになったりその薬を飲むか飲まないかで分岐したりとアドベンチャー部分のつくりがだいぶと凝っていて楽しかったのである意味そのしわ寄せかもしれない。
RTSパートについてはインベーダーゲームのようなドットで表現された敵ユニット、作中設定と完璧に噛み合ったユニット設定や勝利条件の設定、タワーディフェンスという行為そのものが作中ストーリーまさにそのものとアドベンチャー部分を盛り上げるものとしては非常に良かった。一方で武器の詳細な性能がちゃんとわからない、どの敵や範囲が攻撃予測に引っかかるのか分かりづらい、高ランクプレイやミッションの達成は基本的に敵の出現と同時に強力な攻撃を打ち込んで出落ちを狙うのが鉄板戦法なので防御型のコマンドにあまり存在価値がない(一部ミサイルが大量に飛んでくるマップでの空中機雷など使い所が無いわけではない)、そもそもユニットに成長要素がある上にアドベンチャーパートでも経験値が手に入るのに成長は不可逆で、そもそも高ランククリア達成のために周回しているとヌルゲーになる、等々RTSパート単体で遊ぶようなつくりにはなっていないなと感じた。こういう不満点が出てきながらも一瞬で完クリまで進んでしまう辺り本当にアドベンチャーパートとの噛合は良かったのだけど。
総合するとユーザーに体験を与えることに特化した最高に熱中できるタイプのアドベンチャーだと思った。これを前知識のない状態で遊ばせてくれて本当にありがとう……ありがとう……
# おわり
たった一年でゲームが溜まり始めるという現象を体験して戦慄しているが、モンスターハンターワールドの二周目を走ったり今更テイルズオブヴェスペリアにハマったりと割と新しいゲームに手を出す元気が無くなっているだけという話があるのがちょっと悲しいところ。でもやっぱりゲームやるなら感じたことを書くっていうのは楽しいですね(取って付けたような言い訳)